2026年7月14日

「膝に水がたまっていますね。」
整形外科でこのように言われた経験はありませんか?
「水を抜けば治るのですか?」
「なぜ何度も水がたまるのでしょうか?」
「また抜かなければいけませんか?」
このようなご質問を患者さんからよくいただきます。
結論からお伝えすると、膝に水がたまること自体が病気ではありません。
水がたまるのは、膝の中で何らかの炎症が起きているサインです。
つまり、本当に大切なのは「水を抜くこと」ではなく、「なぜ炎症が起きているのか」を調べることです。
膝にたまる「水」の正体とは?
膝にたまる水は、「関節液」と呼ばれる液体です。
関節液は本来、関節の動きを滑らかにし、軟骨へ栄養を届ける大切な役割があります。
しかし、膝の中で炎症が起こると、滑膜(関節を包む膜)が刺激され、関節液が必要以上に作られるようになります。
その結果、膝が腫れたり、水がたまったりします。
膝に水がたまる主な原因
① 変形性膝関節症
最も多い原因です。
軟骨がすり減ることで関節内に炎症が起こり、滑膜が刺激されて水がたまります。
特に歩行後や長時間立った後に腫れることがあります。
② 半月板損傷
半月板が傷つくと、その刺激によって関節内に炎症が起こり、水がたまることがあります。
特に
・急に痛くなった
・曲げると痛い
・引っかかる感じがする
という症状がある場合は、半月板損傷が原因となっていることがあります。
③ スポーツによるケガ
前十字靱帯損傷や軟骨損傷などでも水がたまります。
受傷直後は血液が混じった「血性関節液」となることもあります。
④ 関節リウマチや感染症
頻度は高くありませんが、関節リウマチや細菌感染でも関節液が増えることがあります。
発熱や強い腫れ、安静時にも強い痛みがある場合は注意が必要です。
水を抜けば治るのでしょうか?
患者さんから最も多い質問です。
答えは、
「一時的には楽になりますが、原因を治療しなければ再びたまる可能性があります。」
水を抜くことで、
膝の張り感が改善する
痛みが軽くなる
ことがあります。
しかし、水がたまる原因となっている炎症が続いていれば、再び関節液が増えてしまいます。
つまり、水を抜くことは症状を和らげる治療であり、根本的な治療ではありません。
なぜ繰り返すのでしょうか?
膝に水が繰り返したまる方は、
「炎症が治まっていない」
ことがほとんどです。
例えば、
変形性膝関節症による慢性的な炎症
半月板損傷が残っている
滑膜炎が続いている
軟骨損傷が刺激になっている
などが原因となります。
そのため、何度も水を抜いているだけでは改善しないことがあります。
原因によって治療法は変わります
膝に水がたまる原因は患者さんごとに異なります。
そのため、治療も一人ひとり違います。
例えば、
・炎症が主体なら薬物療法や注射(ヒアルロン酸やPRP注射)
・半月板損傷でひっかかりなどが強ければ関節鏡手術
・痛みが主体であればラジオ波治療(クーリーフ)
・骨の中の痛みが強ければ体外衝撃波治療
など、原因に応じた治療を選択することが重要です。
必要に応じてMRI検査を行い、水がたまる本当の原因を詳しく調べることもあります。
当院が大切にしていること
当院では、「水を抜くこと」を目的とは考えていません。
最も大切なのは、
「なぜ水がたまるのか」
を診断することです。
診察やレントゲン、必要に応じてMRI検査を行い、
・炎症の程度
・半月板や軟骨の状態
・滑膜炎の有無
・手術が必要な病変がないか
まで総合的に評価します。
そのうえで、保存治療、PRP療法、ラジオ波治療、体外衝撃波治療、関節鏡手術などを含め、一人ひとりに適した治療をご提案しています。
まとめ
膝に水がたまるのは、「水が悪い」のではなく、膝の中で炎症が起きているサインです。
何度も水がたまる場合は、その原因が解決していない可能性があります。
「何度も水を抜いている」「腫れを繰り返している」「膝の痛みがなかなか改善しない」という方は、一度、原因を詳しく調べることをおすすめします。
膝専門医として、痛みや腫れの原因を丁寧に診断し、患者さん一人ひとりに最適な治療をご提案いたします。