2026年9月05日

「膝が痛いので体重を減らした方がいいと言われた」
「痩せたいけれど、膝が痛くて運動できない」
変形性膝関節症の患者さんから、このようなご相談をよくいただきます。
体重は膝への負担と深く関係しており、適切な体重管理は変形性膝関節症の治療の一つと考えられています。
なぜ体重が増えると膝に負担がかかる?
膝は、立つ・歩く・階段を上り下りするなど、日常生活の中で繰り返し体重を支えています。
体重が増えると膝にかかる負担も大きくなり、変形性膝関節症の発症や進行、痛みに影響する可能性があります。
特に体重が多い方では、減量によって膝への負担を減らすことが、治療の重要なポイントになります。
減量すると膝の痛みは改善する?
体重を減らすことで、変形性膝関節症の痛みや身体機能が改善することが報告されています。
さらに近年、肥満を伴う変形性膝関節症の患者さんを対象とした研究で、GLP-1受容体作動薬のセマグルチドによる体重減少とともに、膝の痛みも改善したことが報告されました。
68週間の研究では、セマグルチドを使用したグループで平均13.7%の体重減少がみられ、膝の痛みもプラセボ群より大きく改善しました。この結果から、肥満を伴う変形性膝関節症では、適切な体重管理が膝の痛みの改善につながる可能性が示されています。
参考文献
Bliddal H, Bays H, Czernichow S, et al. Once-Weekly Semaglutide in Persons with Obesity and Knee Osteoarthritis. N Engl J Med. 2024;391:1573-1583. doi:10.1056/NEJMoa2403664.
「膝が痛くて運動できない」という問題
体重を減らすためには、食事の見直しと適度な運動が基本です。
しかし変形性膝関節症では、
「痩せるために運動したいけれど、膝が痛くて運動できない」
という方も少なくありません。
膝の痛みによって歩く機会や外出が減ると、運動不足だけでなく、筋力や体力の低下につながります。さらに活動量が低下すると体重が増え、膝への負担がさらに大きくなるという悪循環に陥ることもあります。
また、年齢を重ねても自分の足で歩き、活動的な生活を続けることは、健康寿命を延ばすうえでも重要です。そのため、膝の治療では「痛みを減らす」だけでなく、歩く・運動する・外出するといった活動をできるだけ維持することも大切だと考えています。膝の状態に合わせた運動や食事療法を基本としながら、体重管理が難しい場合には、必要に応じて薬を用いた体重管理(メディカルダイエット)を検討することも選択肢の一つです。
膝を守るためのメディカルダイエット
目黒ひざ&形成外科クリニックでは、美容目的の減量ではなく、膝への負担を軽減するための体重管理という観点からメディカルダイエットをご提案しています。
必要と判断される方には、診察のうえ、GLP-1受容体作動薬であるウゴービ(セマグルチド)などを使用した体重管理を検討します。
薬だけに頼るのではなく、食事や運動を含めて無理なく体重を管理していくことが大切です。
体重管理も膝治療の一つです
変形性膝関節症の治療というと、注射やリハビリ、手術などをイメージする方が多いと思います。
しかし、体重が膝への負担となっている場合には、体重を適切に管理すること自体が膝を守るための治療になります。
「膝が痛くて運動ができない」「体重を減らしたいけれど自分では難しい」という方は、一度ご相談ください。
※メディカルダイエットはすべての方に適しているわけではありません。診察のうえ、適応や副作用などについてご説明してから治療を行います。
執筆・監修:小倉誉大 医師
目黒ひざ&形成外科クリニック 院長
整形外科専門医/膝関節外科
膝関節外科を専門とし、変形性膝関節症、半月板損傷、軟骨損傷、スポーツ膝などを診療。米国Harvard Medical School関連施設での留学経験を持ち、保存治療から手術まで幅広い膝治療に携わる。