2026年9月20日

―半月板損傷との関係
「膝を曲げ伸ばしすると何かが引っかかる」
「急に膝が伸びなくなる」
「膝の中で何かが挟まっている感じがする」
「しばらく動かしていると元に戻る」
このような症状がある場合、原因の一つとして半月板損傷が考えられます。
特に、膝が途中で引っかかって動かしにくくなる症状は「キャッチング」、膝が一定の角度から動かなくなる状態は「ロッキング」と呼ばれます。
ただし、膝の引っかかりがあるからといって、必ずしも半月板損傷とは限りません。
半月板とは?
半月板は、大腿骨と脛骨の間にある組織で、膝の内側と外側にそれぞれ存在します。
膝にかかる衝撃を分散したり、関節を安定させたりする重要な役割があります。
スポーツなどで膝をひねった際に損傷することがありますが、中高年では大きなけががなくても、加齢による変性を背景に半月板が傷んでいることがあります。
なぜ半月板損傷で膝が引っかかる?
半月板に亀裂が生じると、損傷した部分が膝の曲げ伸ばしの際に動き、関節の中で挟まることがあります。
その結果、
・膝の中で何かが引っかかる
・曲げ伸ばしの途中で痛む
・「コキッ」とした感覚がある
・急に膝が伸ばしにくくなる
・一時的に膝が動かなくなる
といった症状が出ることがあります。
特に、損傷した半月板が大きくずれて関節内に挟まると、膝が伸びない、あるいは曲げられない「ロッキング」を起こすことがあります。
「引っかかる」と「ロッキング」は少し違います
患者さんが「膝がロックする」と表現される症状には、さまざまな状態が含まれています。
一瞬引っかかるものの、すぐに普通に動かせる場合もあれば、痛みのために動かしにくい場合もあります。
一方、医学的に重要なのは、膝の中に何かが挟まったようになり、実際に一定の角度から膝を伸ばしたり曲げたりできなくなる状態です。
このような「真のロッキング」が続く場合には、転位した半月板損傷などが原因になっている可能性があり、早めの評価が必要です。
半月板損傷=手術ではありません
MRIで半月板損傷が見つかると、「手術しないと治らないのでは?」と心配される方もいます。
しかし、半月板損傷があるだけで手術が必要になるわけではありません。
特に中高年では、症状がない方でもMRIで半月板の変性や損傷が認められることがあります。
そのため重要なのは、MRIの画像だけではなく、
「現在の痛みや引っかかりが、本当にその半月板損傷によるものなのか」
を判断することです。
症状の程度や損傷のタイプによっては、運動療法や薬物療法、注射などの保存治療で経過を見ることもあります。
一方で、明らかなロッキングが続いている場合や、半月板の一部が大きく転位している場合などには、手術を検討することがあります。
変形性膝関節症でも引っかかることがあります
中高年の方では、半月板損傷と変形性膝関節症が同時に存在していることも少なくありません。
変形性膝関節症では、軟骨の摩耗だけでなく、半月板の変性や関節内の炎症など、さまざまな変化が起こります。
そのため、MRIで半月板損傷が見つかったとしても、膝の痛みの原因をすべて半月板だけで説明できるとは限りません。
年齢、症状、診察所見、レントゲン、必要に応じてMRIなどを総合して判断することが大切です。
レントゲンだけでは半月板は分かりません
レントゲンでは、骨や関節の変形、関節裂隙などを評価できますが、半月板そのものを詳しく見ることはできません。
半月板損傷が疑われる場合には、診察所見に加えてMRIが有用です。
ただし、すべての膝の引っかかりにMRIが必要というわけではありません。
まず症状の出方や膝の状態を診察し、そのうえでMRIが必要かどうかを判断します。
こんな症状がある場合は一度ご相談ください
次のような症状を繰り返す場合には、一度膝の状態を詳しく調べることをおすすめします。
膝の曲げ伸ばしで繰り返し引っかかる
膝をひねった後から引っかかるようになった
膝の内側や外側に痛みがある
急に膝が伸びなくなることがある
引っかかった後に膝が腫れる
「何かが挟まっている」感じがする
特に、膝がロックしたまま元に戻らず、伸ばしたり曲げたりできない状態が続く場合には、早めに整形外科を受診してください。
大切なのは「半月板が切れているか」だけではありません
半月板損傷の診療で大切なのは、MRIで「半月板損傷があります」と診断することだけではありません。
その半月板損傷が現在の症状の原因なのか、保存治療で経過をみられるのか、それとも手術を検討すべき状態なのかを判断することが重要です。
当院では、膝の状態やMRI所見を確認したうえで、できるだけ身体への負担が少ない治療から検討しています。一方、ロッキングを繰り返す場合や、半月板の損傷形態によっては、関節鏡手術が適していることもあります。
手術が必要と判断した場合には、院長が提携医療機関で手術を行うことも可能です。保存治療から手術までを一貫して考え、その方の膝の状態に適した治療をご提案します。
「膝が引っかかる」
「突然、膝が伸びなくなる」
「MRIで半月板損傷と言われたが、手術が必要なのか分からない」
このような症状でお困りの方は、一度ご相談ください。
執筆・監修:小倉誉大 医師
目黒ひざ&形成外科クリニック 院長
整形外科専門医/膝関節外科
膝関節外科を専門とし、変形性膝関節症、半月板損傷、軟骨損傷、スポーツ膝などを診療。米国Harvard Medical School関連施設での留学経験を持ち、保存治療から手術まで幅広い膝治療に携わる。