2026年9月20日

変形性膝関節症の治療として、ヒアルロン酸注射や痛み止め、運動療法などを続けているものの、
「注射をしても、すぐに痛みが戻ってしまう」
「歩くと膝が痛く、外出がつらい」
「夜も膝が痛くて眠れない」
「人工膝関節を勧められたが、できれば手術は避けたい」
と悩まれている方は少なくありません。
こうした場合、これまでの治療をただ繰り返すだけではなく、「なぜ痛みが続いているのか」を改めて評価し、別の方法で痛みにアプローチすることも選択肢になります。
その一つが、クーリーフ(末梢神経ラジオ波焼灼療法)です。
膝の痛みは「軟骨のすり減り」だけではありません
変形性膝関節症では、レントゲンで軟骨のすり減りや関節の変形がみられます。しかし、画像上の変形の程度と実際の痛みの強さは、必ずしも一致しません。
膝の痛みには、関節内の炎症、半月板や軟骨下骨の変化、膝にかかる負担、そして痛みを脳へ伝える神経など、さまざまな要因が関係しています。
そのため、ヒアルロン酸注射などの関節内治療だけでは、十分に痛みが改善しないことがあります。
「痛みを伝える神経」にアプローチするクーリーフ
クーリーフは、膝の痛みを伝える末梢神経にラジオ波を用いてアプローチし、痛みの信号を伝わりにくくする治療です。
変形した関節そのものを元に戻したり、すり減った軟骨を再生したりする治療ではありません。
一方で、慢性的な膝の痛みを軽減することで、
・歩きやすくなる
・階段や外出が楽になる
・夜間の痛みが軽減する
・運動やリハビリに取り組みやすくなる
といった効果が期待できます。
クーリーフはどんな方に向いている?
特に検討しやすいのは、変形性膝関節症による痛みがあり、一般的な保存治療で十分な改善が得られていない方です。
例えば、
「ヒアルロン酸注射を続けても効果が短い」
「痛み止めを長期間続けている」
「歩行時だけでなく安静時や夜間にも痛い」
「人工膝関節を勧められているが、すぐには手術を受けたくない」
「年齢や持病などの理由で手術が難しい」
といった場合には、治療選択肢の一つになります。
ただし、膝が痛い方すべてにクーリーフが適しているわけではありません。
半月板損傷や骨壊死、軟骨下骨の障害、炎症性疾患など、別の原因が痛みの主体になっている場合もあります。そのため、治療前に膝の状態をきちんと診断することが重要です。
PRP・ヒアルロン酸注射とは何が違う?
ヒアルロン酸注射やPRP療法は、主に関節内の環境や炎症に対する治療です。
一方、クーリーフは痛みを伝える神経に対する治療です。
つまり、どれが一番優れた治療というわけではなく、痛みの原因や変形の程度、年齢、活動性、患者さんが治療に何を求めるかによって選択肢が変わります。
場合によっては、これらの治療だけではなく、装具療法や体重管理、運動療法、さらには手術を検討した方がよいこともあります。
「注射を続けるか、手術をするか」の二択ではありません
変形性膝関節症の治療では、
「注射で我慢する」か「人工膝関節手術を受ける」か
という二択で考えられがちです。
しかし現在は、その間にもさまざまな治療選択肢があります。
大切なのは、クーリーフを受けること自体ではありません。
今の膝の痛みがどこから生じているのかを評価し、その方の膝の状態や生活に合った治療を選ぶことです。
クーリーフは、その選択肢の一つとして、保存治療だけでは痛みが十分に改善しない方や、すぐには手術を希望されない方に検討できる治療です。
当院では、レントゲンや超音波検査、必要に応じてMRIなどを用いて膝の状態を評価し、ヒアルロン酸注射、装具療法、PRP療法、クーリーフなどの低侵襲治療から、必要な場合には提携医療機関での手術まで、患者さん一人ひとりに適した治療方針をご提案しています。
「注射を続けているけれど痛みが改善しない」
「手術以外にできることがないか知りたい」
という方は、一度現在の膝の状態と治療方針を見直してみることをおすすめします。
執筆・監修:小倉誉大 医師
目黒ひざ&形成外科クリニック 院長
整形外科専門医/膝関節外科
膝関節外科を専門とし、変形性膝関節症、半月板損傷、軟骨損傷、スポーツ膝などを診療。米国Harvard Medical School関連施設での留学経験を持ち、保存治療から手術まで幅広い膝治療に携わる。